法定相続情報証明制度の活用について

複数の銀行口座、証券会社、不動産の相続手続の場合、各手続きにおいて複数枚の戸籍謄本等の束を何度も提出しなければならなくなります。法定相続情報証明制度を用いれば、戸籍謄本等を提出する必要がなくなり、複数の相続手続きを同時に進めることができますので、相続手続きの時間を短縮することができます

1.法定相続情報証明制度を利用するには

①戸籍謄本等必要書類の収集
●被相続人(亡くなられた方)の出生から死亡までの戸籍等

●被相続人の住民票の除票(または戸籍の附票)

●相続人全員の現在戸籍等

②法定相続情報一覧図の作成

③申出書の記入

④法務局への申出
●申出人の住所・氏名を確認できる公的書類(運転免許証等)が必要です

●申し出をする法務局は、下記の地を管轄する法務局(登記所)から選択します
・被相続人(亡くなられた方)の死亡時本籍地
・被相続人の最後の住所地
・被相続人名義の不動産の所在地
・申出人の住所地

●郵送で申し出ることもできます

⑤法定相続情報一覧図の写しの取得
認証文が付された法定相続情報一覧図の写し(A4サイズ1枚)が交付されます。提出された戸籍謄本等は返却されます。法務局での保存期間は5年間です。無料で必要な通数を再交付してもらえます

主な法定相続情報一覧図の様式及び記載例は法務局のサイトを参照願います

2.法定相続情報証明制度の長所

●多数の金融機関での手続き、各地に分散している不動産の登記手続きが同時進行できます

●複雑な相続関係(同時死亡、数次相続、代襲相続など)により相続人が多くなることで、多数の戸籍謄本等が必要になります。それが1枚の法定相続情報一覧図に集約されます

●複雑な相続案件では、法務局の専門家が相続人の漏れや誤りがないことを確定して頂けるので安心です。

●金融機関での手続きの待ち時間が短縮されます

●相続手続きに必要な最低限度の情報のみが記載されますので、その他のプライバシーが守られます

●相続税の申告書にも添付できます。子の続柄は、長男、二男、長女、二女、養子のいずれかであるかが分かるように記載されたものに限られます

3.法定相続情報証明制度の短所

●法定相続情報一覧図の作成に手間と時間がかかります

●数次相続や代襲相続等の複雑な法定相続情報一覧図の作成は難しいです

●法定相続情報の一覧図に対応していない機関があるため、事前に確認しましょう