
相続財産に欠陥がある事例を以下に示します。
・土地や権利の一部が他人のものだった
・相続した土地の面積が遺産分割時に聞いていた面積よりも小さかった
・土地に賃借権、借地権や抵当権が設定されていた
・債権が債務不履行になった
・建物に白蟻の侵食被害があった
・土地の土壌が汚染されていた
などです
このような財産を相続した相続人は、他の相続人よりも損をしていることになりますので、他の相続人へ「担保責任(不適合責任)」を問える可能性があります(民法911条)。
担保責任は、相続開始前の原因に基づく欠陥だけでなく、相続開始後遺産分割までに生じた欠陥も含まれます。
1.相続人の担保責任(不適合責任)とは?
欠陥のある財産を相続した相続人は、他の相続人に比べて損をしています。相続の公平性を保つために、欠陥のある財産を相続した相続人が他の相続人に対して、損害賠償を求めることができます。
他の相続人は、それぞれの相続分に応じて担保責任を負わなければなりません。
欠陥のある財産を引き継いだ相続人は、不足分の補填を請求したり、遺産分割協議をあらためてやり直すことを請求できる場合があります。
2.担保責任の指担保責任(不適合責任)の請求期限
欠陥のある財産を相続した人は、他の相続人に対して損害賠償を請求できますが、相続した財産に欠陥があることを知ってから1年以内に相続人へ請求しなければなりません。
具体的な取り立ては、その後5年以内に行う必要があります。
損害賠償の意思表示は、期間内に意思表示した証拠を残すため、内容証明郵便(配達証明付)によって行うことが望ましいです。
3.遺言による担保責任に関する指定
遺言によって、相続人の担保責任に関する指定ができます。
例えば、資力の少ない相続人について、担保責任を免除、限定すると遺言します。 遺産内容に不安がある場合、遺言書を作成して担保責任を免除しておくとトラブルの防止に役立ちます。