不倫な関係にある女性に対する包括遺贈が公序良俗に反しないとされた事例

不倫相手への遺贈が無効にならない場合があります。最高裁は次のように判断しました。

「妻子のある男性がいわば半同棲の関係にある女性に対し遺産の三分の一を包括遺贈した場合であつても、右遺贈が、

①妻との婚姻の実体をある程度失つた状態のもとで右の関係が約六年間継続したのちに、

②不倫な関係の維持継続を目的とせず、

③専ら同女の生活を保全するためにされたものであり、

④当該遺言において相続人である妻子も遺産の各三分の一を取得するものとされていて、右遺贈により相続人の生活の基盤が脅かされるものとはいえないなど判示の事情があるときは、

右遺贈は公序良俗に反するものとはいえない。(最判昭和61.11.20)」

一方で、婚姻関係を破綻する原因をつくった女性に対してすべての財産を包括遺贈するとしたことが公序良俗に反し、無効とされた裁判所の判断もあります(東京地判昭63.11.14)。