東京都立大学の学生寮にて

遺言執行者を指定する自筆証書遺言書の書き方

遺言書

遺言者 伊藤太郎は次のとおり遺言する。

第1条

1 私は、本遺言の遺言執行者として、私の長男伊藤一郎(生年月日)と下記の者を指定する。

住所 三重県四日市市日永〇〇〇〇番地〇〇〇
職業 行政書士
氏名 日永太郎
生年月日 昭和〇年〇月〇日

 遺言執行者は、単独で、本遺言に基づく不動産に関する登記手続、私名義の預貯金など金融資産の名義変更、解約及び払い戻し等をする権限ならびに私の貸金庫の開扉、内容物の引き取り及び貸金庫契約の解約等本遺言を執行するのに必要な一切の権限を有する。

3 遺言執行者は、本遺言の執行に関し第三者にその任務の全部又は一部を行わせることができる。

遺言執行者とは

遺言執行者は遺言に記載されている事項に従って手続きを進める人です。遺言執行者は不動産であれば遺言に従って相続登記を行い、預貯金であれば、解約して分配します。

遺言者執行者の指定又はその指定を第三者に委託することは必ず遺言で決めなければなりません(民法1006条1項)。

遺言執行者は、未成年者、破産者以外はどなたでもなれます。

また、遺言執行者は1名に限らず複数名指定することができます。

遺言執行者を指定するメリット

相続手続きが円滑に進み、時間を短縮できます

・遺言執行者は、遺言の内容を実現するため、相続財産の管理その他遺言の執行に必要な一切の行為をすることができます(民法1012条1項)。遺言を執行するために他の相続人の同意を得る必要はありません。そのため、遺言執行者がいれば、遺言執行手続きが円滑に進み、時間を短縮できます。相続税の申告書の提出期限は、相続の開始があったことを知った日の翌日から10ケ月以内ですので、複雑な相続手続きの場合、遺言執行者の指定をおススメします。

特に、不動産を相続人以外の方(公共団体等)に遺贈させる場合、遺言執行者がいませんと、受遺者(不動産をもらう人)と相続によって遺贈義務を承継した共同相続人全員による所有権移転登記が必要になります。不動産を相続できなかった相続人が不満を持って所有権移転登記に協力してくれないおそれがあります。遺言執行者がいれば、相続人全員の協力は必要なく、単独で所有権移転登記を進めることができます。

・相続人が不動産登記や預貯金等の解約手続きなどをする必要がなくなるので、相続人の方の負担がなくなります。特にご高齢の方や障がい者の相続人がおられる場合は遺言執行者の指定をおススメします。

・遺言執行者に第三者を指定すると、相続トラブルが起こりにくくなります。例えば最も多く財産を相続する方が遺言執行者に指定されると、他の相続人が不満を持ってしまう懸念があります。したがって、遺言執行者になるのは、相続人ではなく、行政書士、司法書士、弁護士、税理士等の専門家をおススメします。

相続人が勝手に財産を処分できなくなります

・遺言執行者を指定すると、相続人は相続財産を処分することができなくなります(民法1013条1項)。もし相続人が遺言書の内容に反して財産を処分した場合はその行為は無効となります。

お子様を認知することができます

・遺言執行者を指定しておくと、お子様を認知することができます。逆に言いますと、お子様を認知する場合には必ず遺言執行者を指定することが必要です。

遺言執行者は複数名選任しましょう

遺言は、通常、遺言作成時から相当の期間を経た後、執行されます。そのため、遺言執行者が遺言者よりも先に死亡してしまう可能性があります。

遺言執行者がいなくなると遺言の内容を実現することが困難となります。

そのため、遺言執行者は複数名選任しましょう。

複数の遺言執行者を指定しますと、遺言執行は過半数で決めることになります。

例えば、2名の遺言執行者を指定した場合は、2名で共同して執行しなければなりません。

書類に執行者2名で署名・押印しなければならないなど手間がかかってしまいます。

このような事態を避けるため、遺言書には「遺言執行者らに、単独でこの遺言を執行するための権限を授与する」ことを記載されることをおススメします。

遺言執行者は、本遺言の執行に関し第三者にその任務の全部又は一部を行わせることができる→遺言執行者の履行補助者について

遺言執行者が、さまざまな理由で、その職務を遂行できないときがあります。 例えば、遺言書を作成した後、遺言執行者がご高齢になって遺言を執行することができないことがあります。その際に、遺言執行者の履行補助者として遺言執行者のお手伝いを依頼する方法があります。その場合、遺言執行者と履行補助者との間で、遺言執行の履行補助に関する委任契約を結び、遺言を執行します。

遺言書を作成しても、ご自身の財産をどのように使用、処分するかは自由です

遺言書を作成すると、その遺言と矛盾する財産処分はできなくなると思い込んでいる方もいらっしゃいますが、遺言者の方がご自身の財産をどのように使用、処分するかは自由です。遺言書の内容に縛られることはありません。例えば、「長男に土地・建物を相続させる」と遺言書に記載しても、土地・建物を売却することは可能です。この場合、「長男に土地・建物を相続させる」という遺言が撤回されて、遺言執行ができなくなるだけです。遺言書を作成されることのデメリットは一切ありませんので、ご安心願います。

遺言に関するご相談はひなが行政書士事務所まで

四日市市、鈴鹿市の皆さま 公正証書遺言・自筆証書遺言・秘密証書遺言の作成支援、公証役場での遺言の証人、遺言執行者の就任、遺言の無料出張講座をいつでも承ります。ひなが行政書士事務所までお気軽にご相談下さい。

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参考資料

自筆証書遺言書保管制度のご案内(法務省民事局、令和5年1月作成)

遺言等公正証書 作成の知識と文例(麻生興太郎著、日本法令、令和5年5月10日)

改定増補版 行政書士のための相続実務マニュアル(初見 孝著、三省堂書店/創英社、令和7年4月12日)

【ケース別】遺言書作成のポイントとモデル文例(山田知司編著、新日本法規、令和4年12月9日)

相続税を考慮した遺言書作成マニュアル3訂版(坪多聡美、坪多晶子共著、日本法令、令和7年3月1日)